研究テーマ

腋臭症克服プロジェクト

腋臭症(ワキガ)はわきの下の汗と皮膚表面の細菌によって特有のにおいが発生する状態です。この研究では、わきの皮膚に生息する微生物について調べることで、腋臭症の新規治療につながる知見を得ることを目指しています。

研究目的

私たちの体には多種多様な微生物(細菌、真菌(カビ)、ウイルス等)が存在しています。これまで培養できるのは一部の細菌や真菌に限られていたため、微生物がヒトの体にどのような影響を及ぼしているのか明らかにされていませんでした。しかし近年、遺伝子解析技術が進歩し、微生物をより詳しく解析することができるようになりました。

微生物との関連が考えられる疾患に腋臭症があります。腋臭症はわきの下のアポクリン腺という汗を分泌する組織から分泌された汗と皮膚表面の細菌によって特有のにおいが発生する状態で、ワキガとも呼ばれています。分泌された汗にはほぼにおいはありませんが、汗に含まれるたんぱく質や脂肪等が微生物によって分解されると、腋臭物質が発生し、特有のにおいが生まれます。

この研究では、皆さんのわきの皮膚に生息している微生物の種類や割合と腋臭症(ワキガ)との関係を調べ、腋臭症(ワキガ)の発症に微生物がどのくらい関与しているのかを明らかにし、微生物に関連した新しい治療につなげる知見を得ることを目指しています。

研究概要

本研究では、腋臭症の方のわきの皮膚(皮膚表面及び毛包内)に生息する微生物群集の全DNAを抽出し、次世代シークエンサーを用いた遺伝情報解析により微生物叢を網羅的に解析しています。加えて構成微生物を分離培養し、それぞれの微生物の一般的な性状や病原性を調べています。また、腋臭症の方のわきの皮膚に付着する各種物質を採取し、既報告の腋臭物質の情報をもとに、腋臭に関与する物質を解析しています。